雑誌「チルチンびと」105号掲載 福島県 ㈱増子建築工業
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174増子建築工業による家づくり 実は、増子建築工業に家づくりを依頼するのは2度目だという。最初の住まいも原木から杉材を使い、大黒柱には8寸角のケヤキを設えた。建設中に震災があり苦労して完成した住まいだったが、宅地造成が進み、周辺環境の変化でやむなく転居を決意した。5年間住んだ土地を離れ、今の土地には1年かけて辿り着いた。 「全部一緒じゃ面白くないから、今度の家づくりは複数の樹種で」と増子建築工業に依頼したご主人。増子則雄会長は、「まさか2棟も建てると思わなかったけれど、うれしい悲鳴だった」と当時を振り返る。 杉、檜、イチョウ、ナラ、クリ……。構造材から造作材まで、随所にさまざまな樹種が使われている。 「木の種類が違うと木目や色も全部違うんです」と話す増子会長。ふだんから新建材の家づくりをせず、建具や家具なども自社工場で加工した無垢の木を使っている。 福島県産材にこだわった家づくりを行っている増子建築工業。今年の8月からはJAS認定工場として規格材の製材も行っていく予定だ。増子会長は、今後もよりよい住まいづくりに貢献していきたいと語る。 昔から『チルチンびと』の愛読者だった良之さん。住宅会社を何社も調べて回ったが、誌面をきっかけに出会った増子建築工業のモデルルームを見学したとき、「フィーリングがマッチした」という。良之さんは、もともと地域活性化に興味があり、プライベートで「日本棚田学会」に所属していた。食べ物から始まり化学物質に対して抵抗感があるため、家をつくるなら「木と漆喰の家」と決めていた。躯体の断熱をしっかり行い、薪ストーブと床暖房を併用して冬の寒さに対応。夏には安達太良山から涼しい風が吹き下ろしてくる。通年エアコンの要らない快適な住まいとなった。 間取りは奥さんのアイデアがもととなっている。コンパクトなキッチンに大きなリビングとダイニング。人が集まる場所は部屋を広くとり、寝室などの個室は2階にまとめた。1ダイニングからキッチンを見る。安達太良山の眺望のために大きく窓をとった。 2浴室の窓からも安達太良山を眺めることができる。3庭にある花壇のゼニアオイの花。4レモンスライスという名のカリブラコアの花。 5エゴノキ。庭の植栽計画は良之さんが行った。6キッチンからダイニングを見る。7アメリカアジサイのアナベルコンパクト。 8・9洗面脱衣室やトイレの施工・造作も増子建築工業によるもの。

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