人を生かし、風土を生かす家づくり 山形県
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ここを訪れたイギリスの女性紀行作家イザベラ・バードが「ロマンチックな雰囲気」と評した、往時の景観に思いを馳せることができる。 「街並み運動」が提唱されて25年。町に建つ「金山型住宅」の割合は、当初の15%から35%を占めるまでに上昇した。「助成制度があるとは言え、新築する人がハウスメーカーの安価な家を選ばずに、『金山型住宅』を建てるなど、景観に対して意識が高いんです」と町を案内してくれた金山町役場の須賀稔さんは語る。  川崎さんは、このような町民の意識の高さをこう分析する。「金山町が『林業の町』だからでしょう。木を育てることは、子の代、孫の代まで続く作業です。目先の利益ではなく、100年先のことを考える力が、金山町の人びとには備わっているのだと思います」。次世代に、美しい街並みを残したいという町民の思いが、「街並み運動」を支えている。  だが、昨今の世界的な経済不況は金山町にも影を落としている。順調に伸びてきていた町内の「金山型住宅」の割合は、5年ほど前からは伸び悩む(図参照)。こうした懸念を払拭するべく、川崎さんたちが立ち上がった。すなわち、「金山型住宅」の需要を再び喚起する「次世代型モデルハウス」の建設である。

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