雑誌「チルチンびと」68号掲載 熊本県 ㈲金子典生工房
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134 チルチンびと「地域主義工務店」の会 【熊本県・㈲金子典生工房】 文􀀂上野裕子   写真 􀀂垂見孔士 子どもたちが のびやかに 成長する住まい のどかな山あいの地におおらかに佇む、 自然素材をふんだんに使った家。 ここでは、家族の暮らしの場として、そして地域とともに歩む NPO活動の場として、充実した毎日が営まれている。 山の木々や棚田の稲―視界いっぱいに瑞々しい緑が広がる、熊本県上益城郡。その緑に映える、漆喰壁に瓦屋根の家が石村さん一家の住まいだ。   一家が熊本市内からこの地へ移り住んだのは、1年ほど前のこと。夫の秀登さん、妻の華代さんはともに大学で教鞭をとるかたわら、NPO法人「生活と教育」を主宰している。「生活と教育」の活動は、教育学を専門分野とする夫妻の「実際の活動を通して学んでいきたい」という思いから、3年前にスタート。持続可能な社会をつくりあげる力を育てることをめざして、自然体験や生活体験など学びの場を提案している。   そんな夫妻が家づくりを考えたきっかけは、悠実ちゃんと道成くん、二人の子どもを自然の中でのびのびと育てたいという思いだった。また、NPO活動のベースとなる建物にできればという気持ちもあったという。   日頃から、オーガニックの食材や伝統的な暮らし方を、積極的にとりいれてきた石村さん一家。家づくりにあたっても、自然素材で建てたいと考えていた。そんなとき、地元・熊本県産の小国杉のフェアで金子典生工房を知る。小国杉を使うことをはじめ、フレキシブルな間取り、職 人の手刻みによるていねいな家づくりなど、金子典生工房のつくる家は、石村さん夫妻の希望と共通点が多かった。「フェアで会った金子美智夫社長の人柄にひかれて、内覧会に出かけました。2回目の内覧会のときには、金子さんと家を建てようと決めていましたね」(秀登さん) 衣食住、すべてをオーガニックに こうして、石村さんと金子典生工房との家づくりは、土地探しから始まった。自然豊かな場所を希望して探したが、受け入れる地域の人も「過疎化が進む地域に若い家族が来てくれるなら」と歓迎してくれ、土地探

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