雑誌「チルチンびと」98号掲載 佐賀県 ㈱未来工房
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1和室は天井を下げたため落ち着きのある空間に。左奥に見えるのがリーディングヌック。 2玄関横の廊下から和室を見る。建具は造作。 3リーディングヌックは家族のお気に入り。 4和室の雪見障子を上げるとウッドデッキが見える。 52階子ども部屋は屋根の勾配に合わせてスキップフロアとして下げた。寮生活中の高校生の長男と小学生の次男の2人部屋。 6次男の作品。福岡県森の中にいるような感覚になる。ご主人が手早く薪に火をつける。「薪ストーブのよさは中で燃える炎かな。落ち着きますね。ここに座ってじーっと」。その姿はまるで森の中で焚き火に当たっているよう。 中学生の娘さんに、気に入っている場所は、と尋ねると「和室の小さい部屋」と答えてくれた。和室にある小さな引戸を開けると広がる小さな空間(リーディングヌック)は坂本さんの遊び心の表れでもある。「ここの引き戸は何かいな、って思うでしょう」。坂本さんの顔が生き生きとしてくる。この場所はご主人の好きな場所でもある。薪ストーブの前の広々としたスペースと、狭くて天井の低い隠れ家のヌック。人には両方が必要なのかもしれない。当初は家を建てるなら40坪は欲しいと思っていたご主人。「ほかの工務店ではどれくらい広い家にしたいですか、どんな家にしたいですか、と聞かれたけれど、未来工房では『豊かな生活をしましょう』でしたね」。「はじめは、こがん狭か家じゃどうかなと思ったけど、十分豊かな生活ね」と夫妻。 小学生の息子さんが近くの登り窯跡に連れていってくれた。斜面に残った高さのある段をひょいひょいっと登っていく。一番上からは、もうまもなく紅葉が始まる山に囲まれた鷲尾さんの家が青空に映えて輝いていた。天窓は上昇した暖かい空気を逃がす。機械に頼らないエコだ。「坂本さんと打ち合わせを始めると話がそれてしまってね。吉村順三さんのことや、火や建築の話。有意義な時間でしたね」。ご主人が笑う。森のようなリビングと和室の小さな宇宙 杉の柱や梁や床に囲まれたリビングにいると、川沿いの木立が大きな開口部からのぞき、さながら126534

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