雑誌「チルチンびと」98号掲載 佐賀県 ㈱未来工房
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136日本で初めての磁器が焼かれて400年。今も江戸の文化が続く有田に、鷲尾邸はある。いくつも設けられた開口部を通して、周囲の自然が呼びかけてくる。有田焼の町で山と川の風を感じて 言わずと知れた磁器の町、有田。今も昔の町並みを残す目ぬき通りから少し入ったところにある、真っ白な壁にいぶし銀の瓦の家が鷲わし尾お邸だ。鷲尾邸の建つこの土地、実はもともと碍がいし子置き場だった。敷地調査のためアスファルトを剥がすと真っ白な碍子が山のように出てきたのだそうだ。碍子とは、電線と電柱のあいだにはさみ漏電を防ぐ磁器製の絶縁体。有田の老舗陶磁器会社が日本で初めてつくったもので、掘り出されたものには70~80年ほど前の製造であることを示す記載もあったようだ。あまりに大量だったため、砕いて敷地に撒いたほど。歴史の上に暮らしているというわけだ。 鷲尾さんが家づくりを依頼した佐賀県西松浦郡有田町 鷲尾邸  設計・施工=㈱[未来工房] 写真=酒谷 薫福岡県

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