雑誌「チルチンびと」101号掲載 福岡県 ㈱未来工房
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小道にこぼれるように草花を植えたい 新緑がまぶしい初夏の昼下がり、福岡県久留米市にあるK邸を訪ねた。のどかな田園風景の中にふと、なんとも雰囲気のある木張りの家が現れる。溢れんばかりの緑に囲まれた風合いのある板壁、招き屋根から突き出した煙突、周囲の風景に溶け込むダークブラウンの陶器瓦が、どこか異国情緒を漂わせる。石敷きのアプローチはまるで、訪れた人を物語の世界へ招き入れるかのようだ。「“魔女の家”がコンセプトなんです。雨の日は表情が違って、それもまたいいんですよ」と、微笑む奥さん。大の読書家である彼女の想像の世界が、いたるところに散りばめられているという。 庭を通る細い道を歩きながら、奥さんがつづける。「庭は、小道に草花がこぼれるようなイメージで。造園屋さんに最初に植えてもらった数本の木以外は、少しずつ自分で植えました」。一つひとつ葉や花の状態を確か8122

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