雑誌「チルチンびと」69号掲載 福岡県 エコワークス㈱
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P3 「さあ、いくよ」という健志さんの声に、右手に箸、左手に蕎麦猪口を手にした9歳の虎太朗楽志くん、7歳の旺次朗心真くんが身構える。傾斜した長い樋を流水とともに流れていく素麺。「あっ、しまった」「よし捕まえた」と、二人の声が弾む。「がんばれ」と笑顔で見守っているのは、妻の佐綾香さん。腕に2歳の英慶くんをだっこしている。夏空のもと、前田さん一家は庭先で、自分たちでつくった竹の樋や器で流し素麺を楽しんでいるのだ。  一家5人がこの地に暮らすようになったのは半年ほど前のこと。子育てにシュタイナーの思想を取り入れてきた夫妻は、より理想的な暮らしを求めて、関東から夫妻の故郷である福岡に戻ってきたという。 「ここに家を建てて家族で暮らすのが、ずっと前からの夢でした」と佐綾香さん。周囲を林に囲まれた広大な土地は、もともと佐綾香さんの両親が所有していた畑地だった。現在は、夫妻が五つの畝で自然農を実践し、草を食べてもらうために2匹のヤギを飼っている。ほかにも、ニホンミツバチの飼育や将来薪にするためのクヌギの植林、ビオトープづ

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