九州の縁と 人生観の理解 室内は天然乾燥された熊本産の球磨杉がふわっと香る。デザインされた引き戸を開けると、大屋根のもと、ゆったりと配置されたダイニングテーブルと、回遊できるアイランドキッチンが目に飛び込んでくる。庭に面して障子を引き込んだ掃き出し窓とベンチを添えたウッドデッキ。手前には、こもり感を持つソファスペースが配されている。1階の気配を感じながら、縦に繋がるのが2階の書斎やライブラリーコーナーだ。その空間全体をアールの天井がやわらかく包む。 木下さんの師匠である建築家の田中敏溥さんは、設計の基本を関係性・気配りだと言う。この家も関係性をもとに必要以上に区切らず、互いを尊重することで、家をより豊かにできるという考えだ。
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