雑誌「チルチンびと」92号掲載 愛媛県 ㈱西渕工務店
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160設けた。「子どもたちも含めて家族全員で調理ができること、さらに皆で一緒に食事しながら会話できることを重視しました」(哲さん)。そのため、家族で食事するダイニング、お客さまを招いたときのリビングも十分なスペースをとっている。「リビングから庭を眺めるとほっとします」(千晶さん)。職人技とデザインの調和を若い世代が担う 小池邸の特徴である太い梁を見せた現しの天井には、無垢の木と大工の技が不可欠だ。同社社長の西渕菊きく寿としさんは「家づくりは本来、地元の山から切り出し製材した木を、大工が組み上げてつくるもの。そうした伝統構法による家づくりを大切にしていきたい」と語る。そのため、同社では大工技の継承を大切にしている。「自社大工の半分以上が30代までの若い世代。その若い世代に、ベテランが材の見方や手刻みの方法などをていねいに伝えています」(西渕社長)。 さらに西渕工務店では、今では稀少な竹小舞土壁にも取り組んでいる。小池邸の土壁も、内子のベテラン左官職人が竹小舞下地を編み、漆喰を塗って仕上げた。小池さん一家はこの家に暮らして4年が経つが、四季折々に土壁の調湿効果や蓄熱効果を感じるという。「梅雨時や夏も湿気が気にならず、冬は薪ストーブ1台で暖かくなります。共働きなので2階ホールに洗濯物を干していますが、乾きやすいのもいいですね」(千晶さん)。 これらの技を生かすデザインも、同社の特徴の一つ。一級建築士である西渕社長を筆頭に、他3人の設計チームが設計力を磨いている。確かな技に裏付けられた若い感性もまた、西渕工務店の魅力なのだろう。こだわりの工務店………………31ほうらく焼の蓋をとる哲さん。お客さまを招いたときなどは、リビングで食事を囲む。280㎝の大きな座卓は、ウォールナットの一枚板。 2庭で牛塊肉と豚三枚肉を焼く。 3ドイツ・ガゲナウ社製のプロ仕様のガスコンロやダブルシンクなど、本格的な機材が揃ったキッチン。左手の食器棚は西渕工務店の大工がつくったもの。123

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