雑誌「チルチンびと」79号掲載 ㈱西渕工務店
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右・左下/縁側を思わせるデッキ。家族室の床面とデッキの段差はなくし、内と外が一体になった開放的な空間に。 モデルハウスだが見学したお 客さんが気に入り購入も決まったとか。 左上/台所方向を見る。造り付けの家具も、寸法や配置が熟考されているため、すっきりと見える。 シンプルなつくり。屋根面に太陽熱 集熱パネルを載せ、食堂には薪スト ーブを備え、楽しくエコな暮らしが 営まれることを思わせる。大きな吹 き抜けなど派手な仕掛けはないが、 障子と壁のバランス、家具の配置、 白い壁・天井に現しになった梁など、 のびやかさと落ち着きを兼ね備えた 絶妙な空間だ。  その気持ちよさを支えているのが、 長年培ってきた西渕の技術。玄関土 間の洗い出し、壁・天井の土佐和紙 や漆喰など、自然素材が現代的なバ ランスで使われている。もう一つ、 特筆すべきは.木を読む眼.。四国 の良材を自社工場で選別し、木目が 詰まり狂いの少ない部分をさらに厳 選。金物を使わず組み上げた柱梁に は1本の木の中心部からしかとれな い美しい赤みを帯びた芯持ち材を使 った上、材同士を組む長ホゾ込栓、 背割りなどは目に触れないよう隠す 配慮を。.技は、見えないところに 隠れているんです(笑)」(西渕社長)。  一連のていねいな仕事、さぞ経験 を積んだ職人が手がけたと思いきや、 現場をまとめあげた監督はまだ32歳。 西渕社長曰く、多くの古民家が残る 内子で腕を磨いてきた賜物だという。 地場の素材はそのままに、若い住ま い手の心に響くデザインを|そん な西渕社長の構想は、揺るぎのない 技術と人材に支えられている。

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