雑誌「チルチンびと」101号掲載 愛媛県 ㈱西渕工務店
3/4

96ているハウスメーカーの家を見ていたが、その反面、木造枠組壁工法の、合わせ目をごまかすような細部の納まりも気になったと裕基さんは言う。「無垢の床を裸足で歩いてみて気持ちがよかったり、家の中の空気が澄んでいるような気がした」ことから、夫婦の関心は自然と木造住宅に向かっていった。 西渕工務店と出会ったのは、奈緒子さんがインターネットで「木製建具」「薪ストーブ」をキーワードに検索したことからだ。「西渕さんのところは営業的にあんまりぐいぐい来ないんです。きっと高いよね……恐ろしい(笑)」そう思いながらも夫婦は惹かれていた。ほかも当たっていたが、「息子の高校受験も近いので、家族みんなで住む期間が短くなってしまう。そのことも気になって、西渕さんに『すぐお願いします』と相談しました」。内子大工の伝統の技 すっきりとした開口部から見える、みずみずしい草木たちが穏やかな気持ちにさせる。ほどよく延びた庇が陽を遮り、気持ちのいい風が抜けてゆく。隣には裕基さんの実家があり、南側の畑は両親が耕している。「松山市内でこれだけの土地があるのは珍しいです。木組みを現しで、結構好きにやらせてもらいました」と西渕菊寿社長。この家は伝統構法の折置き組みや指付け(通し柱に横架材を指付けて込み栓で止めること)を意匠的に取り入れながら、構造躯体を木組みで一体化させることにより強度を保っている。 外には大量の薪が積まれ、冬の訪れを待ち1キッチンからリビングを見る。2リビングの内障子は「気密性からも内障子を入れると結構あたたかいし、開放感を出そうと思ったらきっちり納められる」と西渕社長。 3陽がたっぷり入る寝室。 4・5和室とリビングは勾配天井でつながっている。4畳半でのびのびとした居心地。冬は薪ストーブの炎を求めて、次々とみんなが集まってくる1234522

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る