雑誌「チルチンびと」別冊38号掲載 広島県 木ごころ㈱坂田工務店
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P72 ペースと、住居から続く屋根つき車庫が欲しいというものだった。 そこで、S邸の設計担当になった連合の越野俊さんは「バリアフリーを前提に、周囲の景色を生かした住まい、親類が集まる家」をテーマに、1階は伯父さまの居心地を追求。浴室、トイレを伯父さまの寝室近くに置き、車椅子を視野に入れて廊下の幅を広くした。リビングと和室は続き間にして大人数に備え、Sさんの寝室は2階に。独立した住まい的要素も加える一方、1階の気配が伝わるよう吹き抜けにした。ゲストルームを隣にしたのは、現在独身のSさんに家族が増える場合も想定した配置だ。 「景色を生かした住まい」は、伯父さまの寝室の窓が象徴する。L字型の出窓で、ベッドからも外が見渡せる高さにある。連合の設計監理担当、仙道香理さんが、Sさんのお姉さまから「建て替え前の家で、伯父さまは訪問客が坂道をやってくるのを窓から眺めては心待ちしていた」と聞いたことが大きなヒントになったそうだ。越野さん名づけて「待ちびと窓」。視界が広く、伯父さまが親しんできた里の景色も、家の中から眺められる。 施工を担当した坂田工務店は、連合のきめ細かな設計を忠実に実現する一方、同社らしい特色も加えた。木材選びにそれが際立つ。同社大工棟梁の土田敬三さんが床も天井も加工場で1日ずつかけて仮選びし、さらに現場で並べてみて色の合わないものは何度も取り換えるという徹底ぶりで、品

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