雑誌「チルチンびと」66号掲載 広島県 木ごころ㈱坂田工務店
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1ページ 人を生かし、風土を生かす家づくり 広島県・木ごころ㈱坂田工務店 地域型宮大工工務店と 若き建築家の挑戦 地域の社寺建築を担ってきた宮大工工務店は、 少子高齢化による氏子・檀家の減少、地域経済の不振の中、 その存続と技術の継承が危ぶまれている。 生き残りをかけた宮大工と建築家のコラボレーションを取材した。 広島県東広島市に、昨年、坂田工務店のモデルハウスが誕生した。坂田工務店は、昭和21年に先々代の坂田竜市氏が創業し、先代の坂田昭三会長、P原良彦現社長と、三代続く宮大工工務店だ。大工は11名、営業マンも現場監督もいない。  厳しい現実の中「このままではいけん。なんとかこの大工技術を継承し、生き残る道を探さなくては……」。そう考えたP原社長は、モデルハウスを建てるにあたり、『チルチンびと「地域主義工務店」の会』に入会して出会った、連合設計社市谷建築事務所(以下、連合設計社)の戎居連太社長に相談した。  というのは、入会後、連合設計社の吉田桂二氏の作品を見学し著書を読むうち、「建築は地域の大工・職人とつくる」という明快な思想に心を打たれたからだ。  吉田氏は、東京美術学校(現・東京藝術大学)で建築家・吉田五十八に師事。卒業後は、池辺陽の事務所で設計活動後、連合設計社の創設に参加。建築史家・伊藤ていじ氏に出会い、ともに全国の古民家を調査して歩いた人だ。  連合設計社は、木の建築を知りつ

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