雑誌「チルチンびと」48号掲載 奈良県 ㈲倭人の家建築
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1ページ 奈良県・(有)倭人の家建築 吉野の杉が 心地よく香る 落ち着いた 佇まいの家 昔から林業が盛んな奈良県吉野地方。 代々山を守り、木材を 供給してきた職人たちが それらを家づくりへとつなげる。 吉野の木材で建てた、 夫婦二人の住まいを訪ねた。 玄関を入ると、気持ちのよい木の香りに包まれた。ここは奈良県五條市にある新子康次さん、磨須美さん夫妻の住まい。日本三大美林の一つとして名高い吉野の材をたっぷり使って建てられている。天井や床に吉野杉、柱には吉野檜を使っているが、いずれも目の詰んだ良材で、やわらかい表情が室内に落ち着きを与えている。実は住まい手の新子さんは倭人の家建築に携わる一人だ。同社の顧客がこの住まいを見学することもあるという。  奈良県吉野郡は古くから植林の歴史を持ち、杉の赤身など、高級材の産地として名高い。しかし、吉野の材とは言え、木は高級材として流通する部分だけではない。「節の多い上の部分から、下まで全部使えますからね」と永井製材所の永井康雄さんは話す。大切に育てた木は、すべて生かしたい。そんな思いが木をふんだんに使う家づくりへとつながる。  平成14年、代々吉野の木材に携わってきた山主の栗山武久さん、玉木材の新子さん、永井さんが中心となり、吉野郡に隣接する五條市で倭人の家建築を立ち上げた。以来、地元の大工と協力して、地域材による家づくりを行ってきた。 同社では、栗山さんが所有する吉野郡東吉野村などの山の木を新子さんが伐り出し、永井さんが製材して、大工の加工場へと供給する。檜の間伐材をフローリングに使うなど、山の恵みをそのまま家づくりに生かす。無垢の木へのこだわりはもちろん、塗料や左官材は自然素材のものを使い、体にやさしい家づくりに取り組んでいる。  また永井さんは以前から、吉野の木材を生かそうという「協同組合倭

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