雑誌「チルチンびと」87号掲載 人を生かし、風土を生かす家づくり 奈良県 ㈲倭人の家建築
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175永井さんと上西安彦さん・小林竜男さん親子。現在の永井製材の提携先は3社で、いずれも長い付き合いだという。挽き終えた3枚の板を並べてサイズを確認。木目の美しさに、二人の顔に満足そうな表情が浮かぶ。永井製材の提携先の製材所にて。上西安彦さんと小林竜男さん親子が息のあった作業で製材を行う。挽いているのは、原木市場で入手した、直径52㎝、樹齢150年の吉野杉だ。た杉や檜が並んでいる。倭人の家建築だけでは使いきれない材を出品しているのだ。「杉は天井板にして、100年生のこの檜はカウンターか破風板にするといいよね」と笑顔で話す永井さん。「こうした良質な木材がたくさんあることを知ってもらい、多くの人に使ってもらえるようにしていきたいんです」。 大切に育てた木だからこそ、無駄なく使い切りたい——山に携わる男たちのそんな思いから始まったのが、倭人の家建築だ。 同社の設立は、今から14年前の平成14年のこと。旧知の間柄だったという永井さん、吉野の山主である金久商事㈱の栗山武久さん、㈱玉木材の新子康次さんが中心となり、吉野杉を使った家を建てる地域工務店を立ち上げたのだ。地産地消の家づくりをめざして、同社では、栗山さんが所有する山の木を新子さんが伐採、永井さんが製材し、大工の加工場へと運んでいる。 同社設立の背景には、ブランド力を誇る吉野杉とはいうものの、木材需要の減少とともに価格が下脈々と受け継がれてきた吉野の山を次世代へ

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