雑誌「チルチンびと」87号掲載 人を生かし、風土を生かす家づくり 奈良県 ㈲倭人の家建築
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174右/慎重に伐採を行う。 左/木を倒す方向に合わせて入れるのが「受け口」。斜めに切り込んだ位置が「追い口」の面と一致するようにチェーンソーを入れる。右/高さ40mほどの120年生の杉が、豪快な音とともに倒れる。 左/金久商事の栗山武久さん・修さん父子。吉野の山主として、先祖代々伝わる山を守ってきた。右/斧で木肌を削り、木の目を確認。左/受け口の上にワイヤーを巻き付け、チルホールで牽引して木を引き倒す。きちんと管理されている吉野の山。「倭人の家建築」の家に使われる木の伐採が行われている西吉野の現場を訪ねた。120年生の杉の根元にチェーンソーの歯が入り、チルホールと呼ばれる手動ウィンチを使って牽引すると、高さ40メートルほどの木がゆっくりと倒れていく。迫力ある現場を見守りながら「この木は上から下まで皮がすーっと通っているからいい材だね」と頷くのは、倭人の家建築取締役の永井康雄さん。製材所も営む永井さんは「上手に挽くことで1本まるごと建材に使うことができるんです」と説明する。 伐採現場を見学した後に向かったのは、製材現場。製材所では、樹齢150年、直径52センチ全長5メートルという大きな吉野杉を3枚に挽くところだ。慎重に位置を決めて製材機で挽くと、これぞ吉野杉という美しい木目が現れた。「中心部は芯持ちの柱に、まわりの部分は天井板などにします。間伐材だってフローリングになるし、使えない部分はないんですよ」(永井さん)。 月に3回市がたつという吉野の銘木市場には、永井さんが製材し山から家まで、一貫した流れをつくる若い力が連携し吉野の山を守り続ける

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