雑誌「チルチンびと」80号掲載 兵庫県 ㈱平尾工務店
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らしだったが、かねてから子どもが小さいうちに一戸建てを、と考えていた。そこで家づくりを依頼したのが、「オーガニックハウス」を手がける平尾工務店だ。
光と風を取り入れて
大工から始まり、創業100年を超す同社が打ち出すのは、紀州材をふんだんに使った「木心」という伝統工法の住宅。「オーガニックハウス」とは、5年前から始めた住宅シリーズで、ライトが提唱する“その土地に根ざし、自然の光や風を取り入れる”という建築理念をかたちにしたもの。「アメリカの建築ですが、考え方は、昔から気候風土に寄り添って暮らしてきた日本にも応用でき、デザインの選択肢も増えますから」と語るのは社長の平尾博之さん。
夫妻は「ライトもかかわっていた帝国ホテルで結婚式を挙げたからか、目に留まって」と、モデルハウス(小誌76号)を見学。「自然素材を使った、落ち着くデザイン。こんな家に住みたい、と心から思いました」とご主人。夫妻の要望を受け、できるだけモデルハウスのデザインを踏襲。住宅地にあって十分な光と風を取り入れるため、南側には大きな開口を設けた。その奥のウッドデッキは、リビングから外に視線も抜けのびやかに。そこに、木枠のサッシや折り上げ天井と間接照明、幾何学模様のステンドグラスなどのデザインを練り合わせ、ライトならではの美しさも兼ね備えた住まいとなった。
できあがった住まいは「イメージ通りのデザインで大満足。快適で、早くも自分の城という感じです」と笑顔の夫妻。料理好きなご主人のためにつくった広いキッチンでは、皆
でにぎやかに料理を満喫。さらに住みこなしていくのが楽しみだそうだ。
天井を高く取り、回り縁を意匠に高めた寝室は、
高級感あるデザイン。窓からは六甲山も望め、
気持ちのよい空間。
2 階にあるファミリースペースは抜群の眺望。ご主人が書きものをし
たり、将来は子どもたちの勉強スペースにも。
幾何学パターンの装飾が施された、
階段の手すりや踏み面。職人の腕の
見せどころでもあり、細部まで神経
が届いている。
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