雑誌「チルチンびと」70号掲載 兵庫県 ㈱平尾工務店
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64を実感したことから、モデルハウスでも省エネルギーをテーマとして掲げることになったのだ。 興味深いのは、ハイテクとローテクを組み合わせることでCO2排出低減につなげようという考え方。具体的には、太陽光発電パネル設置のほか、屋根160ミリ、壁100ミリの厚さで断熱材を使い、開口部の外部サッシはすべてペアガラス仕様とし、さらに深い軒や小庇をとる、障子を入れるなどの工夫をしている。そして住宅ならではの設備として、薪という再生可能なエネルギーを利用した薪ストーブを導入した。炎の楽しみをより多くの人に もともと、「都市型住宅にも自然を」をモットーにしてきた平尾工務店。これまでも同社で家を建てる人の3〜4割が、薪ストーブを設置してきた。都市部の暮らしでは薪の調達など困難も多いのでは? と聞くと、「薪ストーブの楽しみ=薪割りの楽しみ、とは考えていません」と平尾社長。気負うことなく、家族や友人と炎を囲む良さを味わってもらいたいと話す。そのため、薪ストーブのメンテナンスや薪の調達に関しては、信頼できるストーブの代理店にお願いしているとのこと。 こうした平尾社長の考えは、自らも自宅で薪ストーブを楽しんでいる経験に裏打ちされたもの。「思い切ってリビングに設置してみたところ、非常によかった。自然と人が集まってくるし、家族も冷え性が治ったと喜んでいます」 都市部の住宅での薪ストーブという観点では、設計者の泉幸甫氏も、東京都区部の自邸(小誌54号)に薪正面に見えるキッチンの壁は大津磨き。左手に見えるダイニングスペースはこぢんまりとしているが、とても落ち着く空間。広間から玄関方向を見る。向かって右側は障子、左側はアクリル板を入れているため、部屋全体がとても明るく、暖かい。

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