雑誌「チルチンびと」76号掲載 兵庫県 ㈱平尾工務店
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設計の多様性も大事。お客さまのニ
ーズに応えるだけでなく、新しい住
まい方を提案することも工務店の役
目だと考えました」。
ライトの有機的建築が日本家屋の
「自然環境との強いつながり」に想を
得たものであることは、つとに知ら
れる。気候と建物の関係に着目し、
考察を重ねて生まれた住宅は日本の
風土に最もふさわしいはず―学生
時代から彼の建築に惹かれていたと
いう平尾社長の言葉に力がこもる。
その理念がモデルハウスの隅々にま
で生かされているのは、いうまでも
ない。
構造材は紀州の山長商店のもので
杉のほか檜も一部に用いた。床はナ
ラ材。天井と壁はドイツ漆喰だが割
れ防止のため下地材の上に専用の紙
を張るなど手間をかけている(材に
ついてはコラム参照)。
1階はキッチンを基点にリビング、
ダイニングが回廊でゆるやかにつな
がる。これは、家事をする奥さんの
そばで子どもたちが一日の出来事を
話すなど家の中心はキッチンにある
と考えたためだ。リビングとダイニ
ングを囲むようにデッキが延びて視
右上/キッチン。手前に見えるのはアイランド型調理台。家族一緒に作業しやすい。カウンターの先はダイニング、右にリビングが。 左上/キッチンの
クッキングヒーターはダイニング側に。会話しながら調理を。 左中/リビングとダイニングの間にファイヤースペース。 下右上/LDKは三角形を構成、
気配は感じるが丸見えにならない。 下左/デッキに突き出す半円形のダイニング。キッチンとつながりながら独立性も。庭の緑が目を楽しませる。
周囲の自然を取り入れて
家族がのびのびと過ごす
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