雑誌「チルチンびと」48号掲載 兵庫県 ㈱平尾工務店
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6ページ 兵庫県宝塚市郊外の新興住宅地。モデルハウスの看板がなければそれとわからない、簡素で気品漂う家が建つ。この家は、同県加東市に本社がある平尾工務店の新しいモデルハウス。住宅が密集する都市に建つことを前提に、敷地は約30坪と周囲の家よりもひと回り小さい。ここに両親と子ども二人の4人家族が暮らすことを想定している。  注目すべきは、地元兵庫の木材をはじめ、自然素材をそこここに生かした「チルチンびと仕様の家」であり、価格が約2300万円であること。モデルハウスとしては珍しい現実感のある価格でつくられている。 中庭によって、 光や風を導く  設計の指揮を執ったのは、建築家の泉幸甫さん。隣家と接近する都市の住環境で採光や通風を確保することは難しい。そこで泉さんは、中庭を囲むように各室を配したコの字型のプランを提案。中庭に面して窓を設け、どの部屋にも自然光が差し込み、風が流れるようにした。各室に窓があり、外の景色が見えることで、開放的な空間になり、部屋の狭さを感じさせないことにも繋がるという。  ひと続きのキッチンとダイニング、リビングは、特に採光のことを考え、日当たりのよい2階の南側に設けた。天井は、堂々とした丸太梁や垂木を見せた現し仕上げ。美しい木組みは職人技を感じさせ、自然と天井に目が行ってしまう。視線が高く伸びることで、部屋を広く感じられると泉さん。同時に、周りに自然がない都市の家で、丸太の表情に自然を感じてもらいたいという思いも、天井を現しにした理由だという。同様の考えから、中庭には高木のヤマボウシを配して、2階の窓からも枝葉の緑を眺められるようにしている。  そして、子供室はキッチンがある

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