雑誌「チルチンびと」106号掲載 京都府 ㈱彩工房
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154た。脱ぐ、洗濯する、干す、片付けるまでの一連の動きが1カ所で完結し、家事がしやすい。南に面した物干し部屋は、花粉の時期にありがたいのはもちろん、常日頃に洗濯物が目に入るストレスからも解放された。 ご主人の要望は、趣味に没頭できる書斎を設けることだった。そこで、彩工房はキッチンの上部にロフトをつくり、ご主人の書斎とした。書斎を完全な個室にしてしまうと、動線的に足が向かなくなることもあるため、リビングと空間のつながりを意識して設計されている。「まだお子さんも小さいので、書斎にいても家族とつながっている雰囲気を感じながら過ごしてほしい」と森本社長。住み手がより暮らしやすくなる工夫だ。 「木の床が心地よく、いつも裸足で過ごしています」と奥さん。マンションの床は湿気を含み不快だったという。彩工房では、壁材に透湿性のある素材を用い、壁体内通気工法「ソラリ」を採用しており、壁自体が調湿効果を持つ。さらに、柱や梁の木材にも調湿効果があるため、梅雨の時期でも家の中はサラッとさわやかに感じる。床材に1階は厚さ30ミリの檜、2階は杉の無垢材を使用。「これから住み続けて飴色に変化していくのが楽しみです」と奥さんは嬉しそうに笑う。 ある程度住んでみて使いこなしてからでないと、本当の「住み心地」はわからないと話す森本社長。設計時の要望に応え、プロとして真摯に提案も行う。住まい手が「住みこなす」ようにていねいに寄り添う、彩工房の家づくりの真髄を感じることができた。所在地:京都府京都市家族構成:夫婦+子ども2人敷地面積:245.36㎡延床面積:146.98㎡     (1階 91.50㎡ 2階 55.48㎡)竣工:2020年3月   (工期2019年8月~2020年3月)設計・施工:㈱ 彩工房 ☎075-632-9889構造形式:木造2階建て主な外部仕上げ: 屋根=ガルバリウム鋼板横葺き 軒天井=ケイ酸カルシウム板 外壁=ソフトリシンロール塗り、    一部焼き杉板張り主な内部仕上げ: 天井=珪藻土塗り、一部杉板張り 壁=珪藻土塗り 床=1階:檜無垢板厚30mm、   2階:杉無垢板厚30mm65家事室和室キッチンリビング浴室洗面室玄関1階2階家族とつながる趣味の書斎寝室7121 日当たりのよい物干し部屋と、クローゼットを兼ねた家事室。 2 ホールには京都市内のショップKanon(カノン)で購入したリネンのカーテン。3 子ども室の東側の窓から見えるのは東山山系。4 生活空間とホールを隔てる格子の建具。 5 急な来客に備え、リビングと即かず離れずの距離に和室を配した。 6 自粛期間中、子どもたちはテラスで虫やカエルを捕まえて遊んでいたそう。 7 駐車場はSさんの頭文字と京都の流水からイメージした。34テラス駐車場ロフト子ども室アプローチホール子ども室ダイニングウォークインクローゼット物干し部屋

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