雑誌「チルチンびと」92号掲載 京都府 ㈱彩工房
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資料請求番号9221重ねていく。かつて京都ではこんな「普請」は当たり前だったが、町家を取り巻く環境は変わってしまった。「だからこそ、小さい頃から体験してきた町家の普請に挑戦したかった。実現できたのは、森本さんが私の思いに応えてくれる体制を維持しているからこそ」。 奮闘するプロの姿は、子どもたちにも印象深く刻み込まれたようだ。「これも改修の目的の一つ。こだわりがあったとすれば、ご先祖さまや両親、職人さんたちへの感謝の気持ちを伝えることでしょうか」。12階の奥座敷。 2葦戸越しに奥座敷を見る。建具はこの家にあったものや、古くから付き合いのある建具屋から授かったものを洗いにかけた。 3奥座敷の床の間と書院。 4奥座敷を縁側に向かって見通す。 52階寝室。青いガラスは換気扇の開口部を使い北尾さん自ら入れた。梁の洗いや柿渋塗りも子どもたちが手伝った。 6北尾さん一家と大工職人たち。京都では建主、大工職人たちが主張をぶつけあって生まれる信頼感が住み継ぎを支える。 7奥座敷の網代建具。●所在地 京都府京都市 ●家族構成 夫婦+子ども2人●竣工 2016年9月(工期 2016年5月〜9月)●改修設計 北尾靖雅 ●施工 ㈱彩工房 ☎075-632-9889●構造形式 木造2階建て●主な外部仕上げ 屋根=瓦葺き(ソーラーパネル)●主な内部仕上げ 天井=既存に柿渋とベンガラの混合塗料、柿渋壁=中塗り仕上げ、布クロス貼り床=1階:ナラ・檜フローリング 2階:杉フローリング567取材・文=植林麻衣

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