住宅雑誌「チルチンびと」109号 滋賀県 彩工房_コピー
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大きな窓がテラスへ、目の前の公園へと視線をつなぐ、開放感溢れるリビング。キッチン+ダイニングとのびやかにつながる楢材の床。無垢の木のぬくもりが足の裏に心地よい。天窓から注ぐやわらかな光が時間や季節によって変化する。この家の2階に上がると、家の中にいても屋外にいるように自然の美しさを身近に感じられる。 「冬でも窓からの光が差し込んで夕方までリビングの暖かさが保たれていますし、夏も山からの風が入って、冷房なしで涼しく過ごせました。在宅勤務が中心になって街中を出歩くこともあまりなくなりましたが、家の中で仕事に集中できて、気分転換に公園にも行けるし、子どもたちものびのびと過ごせています」という妻の冨田利香さん。「窓はこの家の中でもいちばん大切にしていて、木製の建具にすることにはかなりこだわりました。窓枠は幅広の杉材で、ベンチ代わりにもなります。ハイサイドライトは建築家の松本直子さんの提案。暗くないかなと心配しましたが、自然な明かりが心地よくて、結局こうしてもらってよかったです」という夫の芳夫さん。ともに新聞記者として忙しく働きながら、5歳の長男朔太郎君と、2歳の双子の君と周君と暮らす。 双子が生まれて、それまで住んでいた街中のマンションが手狭になり夫婦にとって家づくりは喫緊の課題になった。もともと、新聞記者になりたての頃に京都南部で林業の取材にあたっていた芳夫さんは、大雨による土砂災害を毎年のように経験して、山の保全に少しでも貢献できる地元産材で家をつくりたいと思っていた。また、農業を営む実家の風景を思い、子どもを育てるならもう少し自然豊かな場所に住みたいとも考えていた。そんな中で一昨年、北山と宝ヶ池、目の前が公園という自然に囲まれた理想的な土地に出会い、地元の木をふんだんに使った家づくりをしている彩工房の住宅見学会に参加したのをきっかけに本格的な家づくりが始まった。

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