雑誌「チルチンびと」別冊57号掲載 滋賀県 木の家専門店 谷口工務店
4/6

築90年を超える町家3棟を購入し、4棟借りることができたという。プロジェクトの予算総額2億円の調達については、大津市の「商店街・まちなかインバウンド促進事業」として補助金を受けることとなり、まちおこしの要素が評価されて融資も受けることができたという。「最終的には7棟の改修に3億円かかりました。このプロジェクトの実行は大きな決断でしたが、地域に根ざす工務店になるため、棟梁と大工の地位を向上させるための決断だったと思っています」(谷口社長)。店は、大工だった谷口社長が「理想の大工を育てたい」という思いで立ち上げた工務店で、従業員約90名のうち34名を自社大工が占める。「大工の技の継承の機会としても、古民家再生は取り組んでいきたいテーマ。今は年間手がける40棟の3分の1を改修・リフォームが占めています」。 スタジオ開設によって大津を何度も訪れるうちに、空き家になっている町家を生かしたホテルの構想が生まれた。当初は古民家を借りるのに苦労したというが、まちづくりに関わる地元の人との交流を続ける中で、上/広縁にはアルネ・ヤコブセンのエッグチェアやスワンチェアが置かれている。中/2台のセミダブルベッドが設置されたベッドルーム。下/タイル貼りの浴室からは坪庭を眺められる。73

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る