雑誌「チルチンびと」98号掲載 滋賀県 ㈱彩工房
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敷地を生かしたスキップフロアの一番下に位置するリビング。床には幅120㎜の国産ナラ材を使用。コールテン鋼板を使った窓は京都の建築金物メーカーで制作した。アンティークストーブのぬくもりが住まいを暖かく包む店のオープンから数年が経つ頃、夫妻は家族4人で暮らす家づくりを考え始めた。それまでは店の近くのマンションに暮らしていたが「土を感じて暮らしたい」という思いが強くなったためだ。土地を探す中で出会ったのが、店から車で30分ほどの琵琶湖畔のエリア。「比良山系と琵琶湖に近く、近くには温泉もある。ここなら思い描いた暮らしができると思いました」と振り返る。 家を建てるにあたり、夫妻が大切にしたのが「一緒に歳をとる家」であること。「人間と同じように、年月を重ねて深みを増し、最終的には朽ちて土に還る家を建てたいと考えました。そのためには、できるだけ自然素材、国産の材料を使いたい。また、人や物が簡単に使い捨てされる時代だからこそ、大切に使われてきた道具や生活を次世代へつなぐために、内外装をヴィンテージやアンティークでしつらえたいと思ったのです」(弦さん)。 干川さんが、そうした思いをわかちあう設計者を探すために活用したのが、家づくりをサポートするサイト「sumika」だった。「プランを募ったところ、20人以上から提案をいただきました。その中でいいなと思ったのが、静岡の設計事務所・アーバンギアの本多信章さんが描いた水彩画でした。鎧張りの外壁と木枠の窓が印象的

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