雑誌「チルチンびと」71号掲載 滋賀県 ㈱安土建築工房
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142  構造材は滋賀県産の杉と檜。県産材を使うと補助金が出る同県の制度を利用した。1階の床の仕上げはクリ材。壁は漆喰塗り。それらに加え、下地材、断熱材などの建材、接着剤に至るまでトレースのできる安全データシートのあるものを用いている。  昨年6月に家が完成。半年は入居せず風を通そうと目論んでいたが、入ってみたら予想よりずっと居心地がよかった。そこで、夫妻は予定を繰り上げ、8月に移ってきたという。 「数値はクリアしたといっても、実 際に住まないと不安で……。でも、まったく大丈夫でした。子どもたちも毎日、元気いっぱい遊んでいます」 午後、末っ子の坊やが保育園から帰ってきた。手を洗うや否や階段を自分の背丈より高い段からぴょんと 飛び降り、室内を駆け回る。3歳児とは思えない身の軽さにびっくり。 「床を撫でたり柱に抱きついたりし ながら、成長してもらいたいです。幼い頃に触れた素材の質感や匂いはどのお子さんにとっても記憶として 残りますから。住まい手が自分のルーツはここにあると感じられる家をつくることが私たちの務め。いつも そう考えています」(西澤社長) 居心地がいいから予定より早く入居 実は、このお宅は同社の手がけた 「チルチンびと仕様の家」第1号だ。 留意した点を西澤社長に聞いた。 「自然素材を使うのは従来と同じ。ただ、今回は安全性の確認が重要でした。建材すべての実物サンプルをHさんのお子さんのかかりつけのお医者さんに見せ、アレルギー症状が出ないか確認してもらったのは初めてです」 竹内さんも隣でうなずく。 「設計スタッフも現場の職人も仕様に徹底してこだわり、全員のスキルアップになったと自負しています」 右/玄関の脇には仕事で遅くなるご主人の寝室。 中/寝室とキッチンの間に小窓が。夫妻が会話を交わす。 左/キッチンは大工の手づくり。「使いやすいです」と奥さん。上/キッチン側よりリビング・ダイニングを見る。右奥の和室も含め空間がつながっている。 下2点/リビング・ダイニング。天井裏がないため照明を梁に仕込んだ。  左2点/和室は障子を閉めると客室に。吊り押入の下に地窓があり明るい。木が好きで使う木 の種類を多くという奥さんのリクエストにより、ここと床の間はケヤキの1枚板を張った。    

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