雑誌「チルチンびと」71号掲載 滋賀県 ㈱安土建築工房
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子どもが自由に動き回る、 おおらかで楽しい木の家 滋賀県・㈱安土建築工房 文*角丸泰子 写真*米谷 享 チルチンびと「地域主義工務店」の会 化学物質過敏症の我が子を健やかに過ごさせたい。 そんな夫妻の願いをかなえたのは地域に根を下ろし、自然素材を使いこなす工務店だ。 同社の手がけた「チルチンびと仕様の家」にはいつも元気な足音が響く。 環境への思いに共感、さらに信頼が増した なかに入ると、すがすがしい木の香りに包まれるHさん一家の新居。 「どこにいても過ごしやすいです」 奥さんがほほ笑む。こちらは安土建築工房による「チルチンびと仕様の家」。3人のお子さんのうち上の二人が化学物質過敏症のため、さまざまな面で配慮が欠かせない。家をつくる際も電磁波や排気ガスの少ない土地を探したが、住まいそのものが安心して暮らせるものであることが第一。以前から愛読している『チルチンびと』誌上で同仕様の家と出会ったことが決め手になった。 「化学物質の室内濃度を測定すると聞いて信用できると。また、安土さんの家は2階の床板が1階の天井なので、目に見えない場所がほとんどないのも理にかなっている。すべて腑に落ちるという感じでした」  西澤由男社長がかつて家族とドイツで生活したこと、その経験が教育や環境への思いに結びついていることを知り、信頼が増したとも。なお、同社ではゴミを出さない家づくりをめざす「ゼロエミッションプロジェ クト」の活動にも取り組んでいる。  打ち合わせでは、奥さんの意見を設計担当の竹内賢治さんがていねいに聞き、図面に反映させた。間取りで重視したのは、子どもたちが自由に動き回れること。1階は大きなリビング・ダイニングを中心に和室もつながっている。一方、2階は吹き抜けでロフトも一体に。家族が互いの気配を自然に感じながら暮らせる。  化学物質を屋内に入れない工夫も随所に。玄関を二つに分け家族用の内玄関に洗面コーナーを設けたほか、2階の南側にインナーテラスもある。日が入るので、洗濯物を干すばかりかサンルームとし ても楽しんでいる。 玄関ポーチ。道路側からの視線を遮るため、扉の外に木製の目隠しをつくった。ここは子どもたちの自転車置き場の役も果たす。外壁は明るい色の左官仕上げにしており、落ち着いた印象。

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