雑誌「チルチンびと」103号掲載 三重県 ㈲トヤオ工務店
4/6

14545678汚れがこびりついてしまう。それならばシンクとガス台を左右にくっきりと分け、「旅客機のコックピット」のようなコの字型のキッチンにしたいと注文した。トヤオ工務店はその要望に自社のオリジナルキッチンで応えた。シンクとガス台の境界は無垢板で作業台兼配膳スペースにした。キッチンに立つとリビング・ダイニングの全体を見渡しつつ、サイドに付けたカウンターの目隠しで調理に集中できる。ほかにも備え付けの引き出しは最小限にし「ものに合わせた道具入れ」を考えたいと収納をオープン式にした。生後5カ月の長女がいる今の暮らしも将来は変わっていく。その時々の暮らしに合った使い勝手を探り当てたいと考える奥さんに「こんな風なのは使えそう?」と鳥谷尾社長がていねいに提案し、決めていった。キッチン以外にも奥さんの独自のかたちがある。それは「和室の押入は襖を入れずに収納すること」や、埃を寄せ付けないよう「カーテンを付けないで済む家であること」だ。住宅正面にあたる南側はあえて壁にし、採光に工夫した。すっきりとし所付き合いがどうしてもあるので、服部さんに大丈夫そうかうかがいましたが、問題なさそうなお答えで」と振り返る。三重県を拠点とするトヤオ工務店と出会ったのは『チルチンびと』から。新居への要望はとてもはっきりしていた。ご主人の関心は「構造と断熱」、奥さんは「キッチンと梁」。ご主人は無垢の木の家で断熱材は天然素材のウールブレスにしたいと考え、そのすべての要望をかなえられる同社に依頼した、と言う。服部さん夫妻は予算的にも管理の面でも「小さい家」を求めた。さらに室内は「和モダン」に。構造の梁が見えることも望んだ。「何げない会話の中で希望を汲み取ってくださり絶妙なニュアンスでうまくまとめてもらいました」(奥さん)。「掃除が嫌いだから」と潔く言う奥さん。水と油が混ざると、鳥の声が聞こえるし理想に近い」とご主人。仲を取りもった鳥谷尾社長は「田舎なので近自分の感覚で〝合うかたち〟を探し当てる1リビング・ダイニングの真ん中にあるキッチン。奥さんが“コックピット”と話す、コの字型はダイニングとの距離感も近く感じられ寂しさもない。 2ダイニングの窓からも家のまわりの長閑な風景が目に入る。 3タイルは、油ハネを考えてパネルと比較した結果、シンプルで大きめのものを選んだそう。 43才の息子さんと思いっきり遊ぶ奥さん。 5キッチンから部屋全体を見渡すことも。 6和室の窓から望む借景。 7書斎兼ソーイングルーム。 8リビングにあってよかったと話す来客用の手洗い場。トヤオ工務店

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る