雑誌「チルチンびと」別冊41号掲載 愛知県 ㈲勇建工業
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 そんなとき『チルチンびと』の東海版を見て、国産材で家を建てる、という勇建工業にはがきを出し、話を聞きに行くことに。建てた家も何軒か見せてもらったが、そこで見た、その家に住む子どもはもちろん、自分の子どもたちが元気に家の中で遊びまわっていた光景が印象的だった。 そして最終的に決め手となったのが土壁の素材だったという。当初土壁にそれほど興味はなかった夫妻だったが、二人とも結婚前は瓦屋根に土壁というつくりの家に住んでいたこともあり、ごく自然な選択だったのかもしれない。ハウスメーカーの真っ白な壁の部屋に住むイメージは湧かなかったという。 工事に入るまでの時間で、さまざまな土壁を見て興味がわいた夫妻。土佐漆喰、大津磨き、藁縄のデザイン壁など、各所にさまざまな種類の仕上げを要望し「フルコースだったよね」と笑いながら振り返る勇建工業の加村義信社長。また、最近はプラスターボードを張り、その上に下塗り材を塗って仕上材を施すのが一般的な工事だが、M邸は本格的な木摺工法での施工だった。同社では実験を重ね、耐震面で耐力が安定して出る木摺工法で施工しているという。 工事中は「家族でお弁当を持って現場を見に来たり、土壁をつくる体験を子どもたちと共有できたのがいい思い出」と話す夫妻。近所の人たちも、今では少なくなっ左/LDKと続く客間用の和室。豊田土の切り返し仕上げと古建具がしっくりと合う。 中/庭側から見たLDK。キッチンのそばに階段を設け、家族の気配を感じられるようにした。 右/キッチンで仲良くお手伝いをする子どもたち。ステンレスの天板が広く使い勝手がいい。開放的で明るい1階LDKを、子どもたちは裸足で駆け回る。窓の向こうは原っぱのような空き地になっている。70

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