雑誌「チルチンびと」別冊43号掲載 愛知県 ㈲勇建工業
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そのほか2階も含め部屋の配置などはそのままに、クロス貼りだった壁や天井を漆喰や板張りに変えた。 壁はすべて土壁。竹小舞を編んだり、壁塗りの作業にも家族で参加した。「左官職人の技はすごかったですね、細いコテ使いも鮮やかでした」と夫妻は感心しきり。色土を使う壁のデザインなどは同社で塗りの見本をいくつもつくり、入念に打ち合わせを重ねた。 デッキでつないだ増築部分も土壁づくりの建物で、ミニキッチンをつけたリビングと寝室、納戸のみのシンプルなつくり。  かくして完成した齊藤邸。「明るくなってキッチンに立つのも気持ちいいです。家の前を通る人にも、白い漆喰壁が前より明るくていい雰囲気になったと言われます」と嬉しそうな奥さん。「部屋に入ると空気がすーっとしていて湿気もまったく感じません。それに元の家の面影も残しているので落ち着きます」と満足げなご主人。当初は土壁でなく、コストの安いクロス貼りの壁でいいと言っていた息子さんも「今は土壁にしてよかったです。家にしかない質感で、自慢の家です」と絶賛。  明るく風通しもよい快適な空間となった住まい。二つの建物をつなぐデッキをお孫さんが元気に走り回っている。3世代がにぎやかに暮らす生活が始まった。 上右/正面から見た端正な玄関。 上左/床や天井には杉をふんだんに使い、木 のぬくもり溢れる通路。壁は木と色の相性がいい錆土で仕上げた。 右/玄関は洗い出しの三和土。アーチ状の天井がやわらかく人を迎える。 左/和室と寝室の間の欄間の下に耐力壁を設けた。右/暖房などの効率を上げるため、階段を上がったところに仕切りの障子を設けた。 中/ 2階洋室の引き戸には古建具を。 左/書斎スペース。右の戸は小屋裏収納への入り口。

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