雑誌「チルチンびと」別冊60号掲載 愛知県 ㈲勇建工業
6/10

595で、床は耐油の塗料を塗って仕上げています」と、加村さん。離れには、奥さんのためのセカンドリビングや書斎を配するなど、夫妻が個々の時間を楽しむスペースも提案した。 また細部にも、加村さんのアイデアが多く取り入れられている。たとえば、玄関。来客を迎えるように飾られた古い蔵戸やステンドグラスは、加村社長がストックしていたものを夫妻にすすめた。加村さんは「蔵戸は、新潟の古民家改修現場で不要になったものです。綺麗だったので持ってきました。蔵の寸法に倣っしつらえています。ステンドグラスは、ファンタジオナゴヤさんのもので、ナメクジ面の左官で仕上げました」と話す。こだわりの土壁心地よさに感激 奥さんのお気に入りの場所は吹き抜け天井の和室だという。「先代までに何度か増改築を重ね、仏間と庭以外の箇所は都度変化してきたのですが、いずれのときも暗い印象でした。今回の改修で吹き抜けとなり、見違えるほど明るくなりました。この和室から庭を眺めると懐かしい気持ちになります」(奥さん)。 ご主人は「部屋が広く感じますね。建具は高さが低く、頭をぶつけてしまいそうだったのですが、床を下げて高のはなるべく壊さずに生かすこと。そのほかの要素は同社におまかせで家づくりを開始した。技術とアイデアが行きわたる家づくり 齋藤邸の家づくりについて改修設計を手がけた加村さんにうかがった。 構造面の大きな変更は「まず台風対策で、屋根を入母屋型から切妻型に架け変えました。切妻に変更することで空間を明るく広くする狙いもあります。またリビング・ダイニングは、以前に増改築をした跡があり、柱梁が弱っていたので、新たな柱を追加。梁が出るので、下がり壁のついたしつらえとなりました。和室は18メートルの本ツガの梁を建具の上部に移動させています」(加村さん)。 間取りについては、庭を臨む位置は既存を尊重した2間の和室、西側にLDK。また、「長屋門を壊してご主人のための車庫棟をつくりました。バイクや外国車はオイルが垂れやすいの1庭側から見た和室。テーブルの材は吉野檜。 2長身のご主人のために座敷2間は床高を下げ、建具に下駄をはかせた。 3和室からの庭の眺め。庭は加村さんの提案で、夜はライトアップされる。 4吹き抜け上部。塗籠の梁が壁面のアクセントに。5吹き抜けから和室を見下ろす。

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る