雑誌「チルチンびと」別冊57号掲載 愛知県 ㈲勇建工業
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こうした試験を重ねてデータを蓄積することで、よりよい再生につなげていければと考えています」。   現在は新築と古民家再生の割合は6:4だという同社。新築・古民家再生に共通するのは「安心できる自然素材を使った職人の技が光る家づくり」だ。同社では、そのモットーに共感した若い世代の入社が増えているのだという。20代から40代のスタッフに話を聞くと「民家再生は奥が深く、学ぶことがたくさんあります」「左官壁の力を知り、めざしたいと思いました」と目を輝かせて語る姿が印象的だった。同社が長年取り組んできた「本物の古民家再生」は、次世代へと確実に受け継がれていくだろう。170年前の民家の移築再生だが、1階の土間と水まわりには床暖房を導入したり、階段の勾配や床の段差に配慮するなど、暮らしやすい工夫が随所に見られる。この家で10年間暮らしてきた奥さんは「以前のアパート住まいの時に悩まされた結露などはいっさいなく、毎日快適に過ごしています。お風呂に窓があったり、間取りの面でも工夫されているのがありがたいですね」と微笑む。    加村社長に、古民家再生に関する今後の課題を聞くと「古民家再生に関して、きちんとした数値やデータで説明できるようにすること」と言った。「まずは耐力面材としてベニヤを使わなくてよい方法を探っており、その一環として6月に豊田工業高等専門学校と共同で試験を行いました(108ページ参照)。他の工務店や職人、設計士との協同により、1むくり屋根が印象的な外観。 2陶器の浴槽が据えられた浴室。 31階展示場のトイレ。 4打ち合わせをする勇建工業スタッフ。5手前から設計士の斎藤祐介さん、事務の斎藤加代子さん、入社1年目の新實梢さん、左官のベテラン・中山朝登さん、加村社長。 6・7・8打ち合わせ室の箪笥には、加村社長の鏝のコレクションが並ぶ。32123

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