雑誌「チルチンびと」別冊57号掲載 愛知県 ㈲勇建工業
5/8

をもったのは、今から20年以上前のこと。「もともと左官の技には自信がありましたし、その頃の社内大工はベテラン揃い。古民家再生なら、我が社の特長を生かして全員で取り組めるのではと考えたのです」。  そこで、加村社長は日本中の古民家を見て歩いたという。「伝統的建物保存地区の建物はほぼ見ましたね。その中で、古民家における防火や断熱といった性能は、土壁で成り立っている部分が多いことを認識しました。弊社は木摺り下地での土壁の施工ができますので、本物の古民家再生をできると自信を深めたわけです。見た目だけを再現するのではなく、あるべき本来の再生を行い、さらに耐震や温熱環境面で現代の性能がプラスされてこそ古民家再生だと思って取り組んでいます」。     30大谷石の腰壁、ベンガラ色の大津磨きになまこ壁……美しい外壁を見ながら室内に一歩足を踏み入れると、吹き抜けの天井に黒光りする梁のかかる、迫力満点の空間に迎えられる。 1階が勇建工業の展示場、2階が加村社長一家の住まいとなっているこの建物は、築170年の古民家を移築再生したものだ。この建物との出会いについて、加村社長は「もとは山形にあった古民家で、新潟の柏崎に移築し、料亭として使われていました。その材がバラした状態で直江津漁港の近くに置いてあったのです。それを買ってくれないかと言われて見に行って、差鴨居も太くて立派だったので、自宅兼展示場としての移築再生を決意しました」と話す。 加村義信社長が古民家再生に興味12

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る