雑誌「チルチンびと」別冊37号掲載 愛知県 ㈲勇建工業
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P7 「こうなったら新築しかない。でも、そのデザインが気に入ってたので、できるだけ似た感じにとお願いしました」 奥さまが話す。結局、店舗は郵便局のつくりをほぼ忠実に再現し、住居については裏手に設けると決めて、家づくりが始まった。むろん、建物としては一つ。勝手口を通って自由に行き来できる。  設計面では、明るく風通しのいい家というのが第一。1階のLDKは大きなワンルームともいえる空間で、吹き抜けを介して2階とつながる。子供室と寝室は2階に。 前者は仕切らず、子どもたちがのびのび遊ぶ。店番をしていると上から派手な足音が聞こえ、そのたびにコラッと怒鳴ってますとご主人が苦笑いした。 騒音が気にならないのは〝土〞の遮音効果による   材はすべて新材で、柱・梁とも岐阜県産の杉、床は1階が松、2階が杉だ。LDKには、ご主人のリクエストで大きな梁を入れた。一方、建具類はほとんど夫妻の仕入れてきた古いもの。奥さまの実家で長年使いこまれ、解体を機に譲り受けた引戸などが家にしっくりなじみ、なんともいえないぬくもりを感じさせる。  「味のある古材や古建具は、うちではよく使います。ただ、狂いのきたものは修理が必要。扱いに慣れた大工さんや建具屋さんでないとできないでしょう」 と加村さん。この家で気づいたことがも

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