雑誌「チルチンびと」96号掲載 愛知県 ㈲勇建工業
3/6

184上/テレビ部屋。ソファの後ろの階段は勇建工業が新たにつくった。 左上/屋根裏からテレビ部屋を見下ろす。この部屋のみ、天井を取り払って梁を現しにした。 左中/梁と左官壁の取り合いが美しい。 左下/虫籠窓のある屋根裏。した家づくりを行っている。岡本邸の調査に訪れた加村社長によると、当時は「傷みが目立ちましたし、土間は改築を重ねていましたが、補強すれば問題なく住める状態」だったという。それを聞いた一真さんは、住み継ぐことを決意。時間をかけて、改修への準備を進めた。「これまで木造の住宅設計を行ってきましたが、古民家再生は初めて。加村さんと相談しながら、今の暮らしにふさわしい再生をめざしました」。和の意匠と調和する       住まい手のセンス 改修にあたり、まずは土台を補強し、次に家のゆがみを正した。加村社長は「梁と差し鴨居の隙間が開くなど、家がゆがんでいたので、ジャッキのような機械で家を引いて捻れを元どおりにしました。屋根をのせたままの作業だったので苦労しました」と振り返る。「構造面を補強する際に断熱性も向上させ、寒くない家をめざしました」(一真さん)。 こうして再生した岡本邸の魅力は、古いものと新鮮な感覚が共存していること。「間取りで大きく変えたのはキッチンくらいです。改築されていたところはなるべく元の姿に近づけ、その上で間仕切りを取り払って広い空間をつくるなど、暮らしやすさのための工夫をしました」(一真さん)。建具

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る