雑誌「チルチンびと」60号掲載 愛知県 ㈲勇建工業  
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 国産材を手刻みして組み上げ、竹小舞を掻いた土壁という勇建工業の家づくり。そのことに加え、ご主人が興味をもったのは、断熱材を使っていない点だった。化学物質に少々敏感で、自然素材で家を建てたいと思っていたという。自然素材の断熱材や工法もあるが、できるなら断熱材を使わずに建てたい。  同社は、外壁に断熱材を入れずに、竹小舞土壁と木摺り土佐漆喰壁、二重の空気層という、合わせて厚さ約150ミリの土壁で蓄熱と断熱をはかっている。普通の漆喰よりも水に強い土佐漆喰は、土壁に通常入れる糊を使わず、稲藁のスサを発酵させ、石灰と合わせて半年ほど寝かしてから使う。高知県吉良川町でその耐久性を目の当たりにした加村さんは、現地に通い、技術を習得していた。果たして、ご主人の願いは叶うことに。  一方、奥さまは土壁の家と聞いて少し心配だったという。「純和風の家になってしまうのかと思って」。けれど、勇建工業が施工したギャラリーカフェ「ロージリー」(156頁参照)を訪ねて、ホッとしたそうだ。国産材を使い、室内は漆喰壁、外壁は土佐漆喰ながら、とてもモダン

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