雑誌「チルチンびと」60号掲載 愛知県 ㈲勇建工業  
3/6

「寝室は調湿性が高くて、音も反響しにくい切り返し仕上げ。トイレや洗面所は、清潔感のある漆喰磨きや大津磨き。外壁の土佐漆喰は風速60メートルを超す強風が吹く高知で、古くから使われている仕上げです」と、壁について朗々と話す勇建工業の加村義信さん。Y邸の壁はすべて竹小舞を掻いた土壁で、しかも、仕上げを部屋の用途によって変えている。京捏ね漆喰鏝仕上げ、豊田土切り返し仕上げ、藁漆喰鏝仕上げ……。吹き抜けから見える天井の美しい梁組だけでなく、表情さまざまな壁も大きな見どころといえる。  加村さん曰く、一般に2階建て延床40坪の家なら、壁の面積はおよそ400平方メートル(内外壁合わせて)。木材よりも大きな面積を占めることから、無垢の木にこだわるなら、壁にもこだわって欲しいと言う。土壁は趣ある質感に加え、調湿性や防火性に富み、職人の手わざも生かせる。左官業から始まった工務店として、土壁の説明には自然と熱が入る。新居を建てるにあたって、あれこれ勉強したというYさん夫妻も、「壁についてはもうお任せしました」と笑う。

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る