雑誌「チルチンびと」95号掲載 愛知県 ㈱エコ建築考房
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 玄関を入ると、洗い出し仕上げの美しい土間が迎えてくれる。 もとの家には大きな土間があり、畑で作業したままの姿で屋内へ入り、食事もとれるようになっていた。夫妻は新たな家をつくるにあたって、土間ともとの家の雰囲気を残すことを希望した。 新しい土間は、裏の畑まで道のように、L字型に家の中央を貫き、屋内と屋外を繋いでいる。LDKからトイレに行くには一度靴を履くことになるのだが、それはまったく苦にならないという。ふらりと人が訪ねてきても、土間があれば玄関の上がり框に座っておしゃべりができる。 夫妻は昔から残るものや暮らし方を大事にしている。家具屋さんに頼んでもとの家の大黒柱でテーブルと椅子をつくってもらった。ずっと使ってきた水屋箪笥を、2階のセカンドリビングに据えている。昔からの、薪を使った生活を続けている。……そんな話を聞きながら土間を歩いて畑に抜けると、まるで昔の生活と今とを時間旅行しているように感じる。可能性を秘めた家に暮らす 建て替えを決めた当初は「鉄筋の家を希望していたんです」と夫妻は話す。だが、たまたま見たエコ建築祖父の代から住んでいた家を建て替えた大塚さん。畑に囲まれた昔からの生活やもとの家のよさを引き継ぎながら、巡る季節とともに過ごしている。新たな家での暮らしには日々発見がある。愛知県一宮市 大塚邸設計・施工=㈱エコ建築考房写真=酒谷 薫家族の暮らしをゆったり結ぶ通り土間特集土間のある家138

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