エコ建築考房「健やかに暮らす」住まいの家
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007 私たちが生活している空間にはいろいろなにおいが存在しています。食べ物のにおいや、植物のにおい、香水や化粧の香り、車の排気ガス、煙草のにおい、体臭など発生源はさまざまです。金木犀や銀杏のにおいで季節を感じたり、カレーのスパイシーなにおいを嗅いでお腹が空いたりした経験がある方も多いかと思います。ここでは、においの話、特に住まいや住まいの材料のにおいについてお話ししたいと思います。 においは空気中を漂う気体の化学物質です。においを感じさせる物質(におい分子)は地球上に40万種類程度あるといわれています。嗅覚の重要な役割の一つに環境中の危険を察知することがあり、そのため心地よいにおいよりも腐敗臭など不快なにおいのほうが閾値(においを感じることができる最小濃度)が小さいものが多く、不快なにおいに対して感度がよいことが知られています。においを感じる仕組み においを感じる仕組みを図1に示します。においを嗅ぐと、空気中のにおい分子が鼻腔内に入り、鼻腔内の上部にある嗅粘膜に到達します。嗅粘膜は、におい受容器(刺激に対して最初に応答する部位)であり、嗅粘膜にある嗅細胞が検出器としてにおいを感知します。ここで受容されたにおいの情報は嗅球を通り、大脳に伝わってにおい感覚が起こります。嗅細胞の数は個人差や年齢差があるものの約1000万個、犬では2億個程度あることが報告されています。また、嗅細胞は一定期間ごとに再生し、新しい細胞に置き換わっています。木のよい香りか、ツンとしたにおいか萬羽郁子(東京学芸大学)【健康】大脳嗅球嗅球へ嗅神経嗅上皮嗅小包鋤鼻器嗅繊毛嗅細胞●嗅上皮の構造支持細胞脳へ(出典 川崎通昭、堀内哲嗣:嗅覚とにおい物質、社団法人におい・かおり環境協会、p.6、2006を一部改変)においを感じる仕組み図 1においを感じる仕組みとは?DATA : 01家を建てる前に知っておきたいこと

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