エコ建築考房「健やかに暮らす」住まいの家
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049 我が家のぬか床も無事6歳になった。菌もすっかり定着したようで、ちょっとやそっとのことではへこたれない床に育ってきている。 ぬか床のお手入れだが、我が家では基本的に水分を捨てないようにしている。水っぽくなってきたら足しぬかをして水分量を調節し、酸味が強くなってきたら、塩や市販の「ぬかみそからし」と呼ばれているものを足すので、必然的にぬか床は地味に増えてゆく。肉や魚を漬ける用に取り分けたり、野菜を漬けたぬか床ごと手土産にしたりして量を減らしてきたが、それでも持て余すことになる。増えすぎたぬか床を、最近ではひとつかみずつ里子に出したりしている。ちょうど良いことに、娘の通う幼稚園には手仕事好きなお母さんも多く、我が家のぬか床を貰ってくれるので、せっせとぬか床普及をしているという次第だ。菌の住みついた元種を、つくりたてのぬか床に加えることで発酵が促され、より早く美味しいぬか漬けが食べられるようになるのだ。 ぬか床は、手入れが大変! と思われがちだけれど、菌さえしっかり育てば、真夏の室内に2、3日放置しても意外と大丈夫だったりする(あくまで我が家論ですが……)。巷には、100年もののぬか床を持ってる方が案外といらっしゃるようだけれど、それも納得。菌の育ち具合でどうにでもなるんじゃないかと思う。 ぬか床のことを考えるにつれて、本当に子育てと同じじゃないかっ! としみじみしてしまう。我が娘がなかなかのやんちゃっ子なだけに、ぬか床のことを考えるだけでうっすら涙が……そんな我が子も年中さんになり、少しは扱いやすくなってきたような。何事も下積みが大切なのかもしれません。文、題字=塩山奈央 写真=西川公朗暮らしの連載ぬか床奉行塩山奈央さんのぬかのお手入れが終わったら、手のひらでギュウギュウと押し付けるように空気を抜き、表面を平らにならす。容器の内側に付いたぬかは、綺麗に拭き取って。古漬けは、刻んだりスライスしてオイル漬けにしておくと、日持ちもするし、そのままチャーハンの具や茹で卵と混ぜてタルタルソースに、など活用できる。お気に入りの足しぬか「麹屋甚平」。これを足しぬかに使うようになってから、風味が増したような。ぬかに塩、米麹、唐辛子が入っているので、手軽に使える。右の足しぬか以外にも、水分を吸収する干し椎茸は旨みも出て◎。酸味が出てきたら、「ぬかみそからし」(左上)で中和して。塩や唐辛子も時折加える。

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