エコ建築考房「健やかに暮らす」住まいの家
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041 建物の耐震性は、主に耐力壁の量とバランスのよい配置で決まります。それを検証するため壁量計算や四分割法といった計算を行いますが、計算結果が実際の建物の耐震性とリンクするためには、各耐力壁に均等に水平力が分配されなくてはなりません。 その役割を担うのが「水平構面」です。水平構面とは床組や小屋組のことで、これらの水平力に対する抵抗力の大小を表すのが床倍率です。数値が大きいほど抵抗力が大きいことを示し、広い空間としたいときは床倍率を高くする必要があります。 床倍率は品確法という法律で数値が示されていますが、種類が少なく、それ以外の仕様とするときは大学や公共機関で試験を行って数値を求めます。 今回はプレ試験として、38ミリの厚い杉板を張った床の仕様を3種類考え、岐いることが耐力の向上に貢献していると思われます(左上)。また火打ちを大きく架けたものは、トラス効果により構造用合板張りにも勝る高倍率が得られています(左下)。安心安全な構造をめざして〜水平構面の試験検証について自らがつくる木の家の安全性を、より確かなものに—。構造家の監修のもと、今回は床の仕様を構造実験で検証。無垢の杉板を使いながら、構造用合板と同等の数値が出た。文=山辺豊彦(構造家)右/岐阜県立森林文化アカデミーにて、構造実験の様子。左上/変形させ、強度を測定。左下/トラス効果の実験の様子。写真1と2は、耐力壁の長さと位置が同じ。この建物に水平力がかかったときに、写真1のように床がないと中央部分が大きく傾いてしまう。そこで写真2のように床を固めると、水平水力が端部の耐力壁に伝わり、建物全体の傾斜も小さく抑えられる。エコ建築考房の家づくり2阜県立森林文化アカデミーに試験を依頼しました。床倍率は構造用合板張りの床と同等の値が得られています。これは根太を落し込みにしていることと、床板が厚くビス留めして写真1 床がない場合の建物の変形写真2 固い床がある場合の建物の変形

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