エコ建築考房「健やかに暮らす」住まいの家
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014建築基準法で許容される損傷は最低ライン。「品確法」の性能設計か、確認を。熊本地震でわかったこと 木造住宅にとって問題になるのは、地震の大きさだけではなく、地震の波(周期)の早さです。熊本地震では震度7の前震と本震が発生、ともに0・4〜0・6秒の短い揺れと、1〜2秒のゆっくりと大きな揺れが確認されています。木造住宅にとってガタガタという短い揺れは、たとえ震度6でもそれほど深刻なダメージをもたらしません。問題になるのが1〜2秒のゆっくりと大きな揺れ。キラーパルスとも呼ばれ、木造に被害を与えることが近年わかってきました。 ではどのような対策をとればよいか。それは建築基準法で求められている値よりも、耐力壁の量を、余裕をもって入れておくことです。耐力壁にはさまざまな種類がありますが、いずれの仕様でも繰り返し荷重を受け、変形すると徐々に損傷が大きくなり、破壊します(左写真)。壁量が少ないと、壁1枚あたりにかかる地震力が大きくなりダメージも大きくなります。壁量を多くして壁1枚あたりにかかる地震力を小さくすれば、最初に受けた地震での損傷は小さくてすむので、繰り返す余震に対しても抵抗することができます。やまべ・とよひこ/1946年石川県生まれ。法政大学工学部建設工学科建築専攻卒業後、青木繁研究室入所。1978年山辺構造設計事務所設立。日本建築構造技術者協会東京サテライト顧問、大工塾共同代表。著書に『住まいを守る耐震性入門』(小社刊)、『渡り腮構法の住宅のつくり方(共著)』(建築技術)など。構造用面材の破壊試験。釘が揺れでめり込み、構造用面材が破壊されているのがわかる。(写真=山辺構造設計事務所提供)層間変形角※1/120以下、残留変形※※なし換気口まわりのひび割れ 小モルタルひび割れ 微小隅角部に隙間損傷なしわずかなズレ軽微層間変形角1/120〜1/60、残留変形なし換気口まわりのひび割れやや大モルタルひび割れ 開閉不能損傷なし隅角部のひび割れ、一部釘めり込み簡易層間変形角1/60〜1/30、残留変形ありひび割れ多大、破断なし仕上げモルタルの剥離モルタル、タイル剥離ガラス破損仕口ズレパネル相互の著しいズレ、釘めり込みやや困難ⅠⅡⅢ損傷ランク第1種地盤 良好な地盤建物の傾斜基礎外壁開口部筋違パネル修復性品確法 等級3品確法 等級2建築基準法=品確法 等級1品確法 等級2品確法 等級3品確法 等級3第2種地盤 1、3の中間第3種地盤 軟弱地盤大地震時の損壊状況軽微小破中破壁量の目安建築基準法損壊状況の概念図損壊状況

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