雑誌「チルチンびと」59号掲載 静岡県 家和楽工房 植松一級建築事務所
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3ページ 地域が求める 安心の家づくりを  もとは、設計のみを請け負うつもりで25年前に事務所を開いた植松さん。だが、設計意図を確実に反映させるため、その3年後から施工も手がけ始めた。以来、いわゆるアーキテクトビルダーとして地元で家づくりを続けている。F邸の施主は、約3年間、植松さんのつくった家を見続けて信頼し、設計を任せた。  1階和室の柱には、四隅を丸く削り残した面皮柱を用い、天井は昔ながらのイナゴ天井(竿縁天井)にした。「こういう数寄屋造りは、日本人なら心安らぐと思うんです」と植松さん。また、玄関や階段の壁に埋め込まれたステンドグラス、各所の飾り棚、特に、トイレや洗面台のガラスモザイクは植松さんのこだわり。身近にアートがあることは、子どもたちの情緒を豊かにし、住む人の心も豊かにするとの信条からだ。  そして、発生が懸念されている東海地震に備え、耐震性にも人一倍の注意を払う。県の耐震診断補強相談士を務める植松さんは、自ら手掛けた家の壁量を建築基準法の1・9倍以上に。構造材には、ヤング率(*)90以上の地元産「富士山桧輝」を用いている。「住む人が本当に安心できる家づくりがしたいんです」と、植松さんは力を込めて語った。

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