雑誌「チルチンびと」別冊47号掲載 岐阜県 ㈲亀津建築
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48差のある家。「空間の面白みも求めていたので他社だと物足りない。でも亀津さんは平屋でも豊富なアイデアがある」とご主人は確信する。それに加えて、大壁ですっきりと見せる室内のデザインや、建材の嫌なにおいがしないことも気に入り同社を選んだ。風景と光を受け止める   「く」の字型大工だった初代が創業した亀津建築。現在は二代目社長の亀津雅まさしさん・亀津薫さん兄弟が中心に切り盛りし、地元の木材と土壁にこだわりを持つ。岐阜伝統のどっしりとした本屋普請で培った技術をベースにしつつ、この10年間は建築家との協働を通し、洗練されたデザイン力とそれに対応できる施工力を磨いてきた。 空間の面白さも重視していたご主人の希望に対し、提案されたのは「く」の字型の家。玄関や寝室のある道路側と、子ども室が並ぶ東側とを角度をつけたLDKでつなぐ形だ。家全体が南東の風景に向いて開き、日中だけでなく午前中の爽やかな光も享受できる。厳しい西日を遮る角度も検討し、設計の工夫で温熱環境の改善を図った。美しさを求め、      手間を惜しまない「く」の字にしたことで現場では苦労も。「平面が曲がっていてさらに屋根勾配がつくので、天井は特に納まりが難しい。職人泣かせですよ(笑)」と、現場監督を務めた薫さん。そう言いつつも「確かに手間と時間はかかります。でもその小さな積み重ねが全体のすっきりとした印象につながっていくんです」と、苦労を惜しまない姿勢を貫く。たとえば壁と天井のつなぎ目には回り縁を入れていない。回り縁とは、材料の微妙な誤差から生まれる隙間に材を巡らせて処理する方法のこと。しか右/廊下突き当たりよりリビングを見返す。子ども室の扉の上はガラスを入れ、子どもたちの気配を感じられるとともに長い廊下の明かり採りになる。 左/トイレにも造り付けの棚を設けて一体感を。右/和室の窓は、座った時の目線に合わせて高さを決めた。 左上/障子を閉めるといっそう落ち着ける場になる。 左下/和室にあわせてつくった庭。

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