雑誌「チルチンびと」別冊47号掲載 岐阜県 ㈲亀津建築
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45いっせいに新緑をつけた木々。その緑のトンネルをくぐりぬけ、坂道を登りきった先にH邸が見えてきた。谷を挟んで遠くの山まで一望でき、恵まれた環境に思わずため息が出る。「景色を満喫できるからこの土地を選びました」とご主人。家自体も風景の一部となる佇まいだ。中に入ればそこここに風が流れ、漆喰の白い壁で明るい室内は空気も澄んでいるようだ。LDKの中心には丸柱が床から生えるように立ち、天井に向かって伸びる姿がどこか楽しい雰囲気を加えている。 2010年に竣工したH邸。住み始めて今年で5年目を迎える。以前はご主人の実家に同居していたが、子どもたち3人が大きくなったため、家づくりに踏み切る。子ども室だけが2階に孤立するのではなく、LDKとつながりが持てるようにしたいという考えから平屋を家づくりの大前提にした。「平屋なのは子どもたちのためでもあるけれど、当時は仕事がとても忙しくて気持ちに余裕が生まれる家がよかった。それもあって外とのつながりが強い平屋にしたかったんです」(ご主人)。 さっそく各社の見学会に出かけたが、プランを依頼しても真ん中に玄関を据え、左右に部屋を振り分けたものばかりでがっかりしてしまう。そんな中訪れた亀津建築の見学会で見たのは、敷地の形を生かした高低リビング・ダイニング。天井がなだらかに流れる。薪ストーブ1台で家中暖まり、冬でも半袖で過ごせるのだそう。右から /キッチン。カウンターを高くし、手元を隠す。/ダイニングテーブルの後ろの窓は眺めがよくなるようはめ殺しに。 /外へと誘うデッキ。ダイニングから和室まで続く。

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