雑誌「チルチンびと」別冊45号掲載 岐阜県 ㈲亀津建築
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118上/2階の子ども室。将来は中央で仕切ることのできる設計に。 下/主寝室。奥に書斎が見える。2階の書斎にはあえて建具を付けず、1階とのつながりを楽しんでいる。よりやや長いのは、土壁を乾燥させる時間を要するからだという。 H邸のある地域は、岐阜県でも夏の暑さ冬の寒さが厳しいところ。そんな土地でも心地よく過ごせるよう、亀津建築では土壁と断熱材を組み合わせた付加断熱工法を採用している。「当社が土壁にこだわるのは、すぐれた調湿性と蓄熱性を備えているからです。エネルギーを使うことなく、梅雨時は湿気を吸収し、冬は魔法瓶のようにぬくもりを蓄えてくれます。ただし、土壁の弱点は断熱性と気密性が低いこと。昔の土壁の家が寒かったのはこの弱点のせいなのです。これを補うために、当社では土壁の外側に透湿仕様の断熱層を設けているのです」と同社社長の亀津雅さん。さらに、H邸は平成21年度の長期優良住宅先導的モデル事業「土塗壁木造住宅の高断熱化普及促進事業」に則った仕様となっていて、熱損失係数では次世代省エネ基準の値を大幅に上回っているという。「春と秋は窓を開けて自然の風を入れ、夏と冬は窓を閉めて、夏は2階の廊下に設置したエアコンを、冬はヒートポンプ式床下放熱器をそれぞれ自動運転させることで、家の中は1年中快適です。この家をつくってくれた亀津さんには感謝しています」(ご主人)。「子どもたちがこの家で元気に育ち、楽しい思い出をいっぱいつくってくれたらうれしいですね」(奥さん)。随所に使われた鉄作家・金森正起さんの作品。「手のぬくもりが感じられるのがいいですね」

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