雑誌「チルチンびと」別冊41号掲載 岐阜県 ㈲亀津建築
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たい」と漠然と思っていたという。それにハウスメーカーにはない味わいのある素材感にも惹かれた。 知人に亀津建築を紹介されたものの、「びっくりした」という奥さん。「まったく営業してこないんです」と、笑いながら振り返る。さかんに営業してくるハウスメーカーにうんざりしていたこともあり、「家を建てたい、という人に協力するだけ」という亀津の姿勢が信頼できたという。 亀津建築は先代が創業してからおよそ40年の工務店だ。現在は3人で事務所を切り盛りし、自社で木材などの加工場も持つ。合板などはいっさい使わず、地元の木だけでつくる。壁の漆喰仕上げも亀津の標準仕様だ。夫妻のこだわりと子どもたちへの思い 平屋を希望したのは、共働きで忙しいので掃除なども行き届くように、という理由もあった。新しく家を建てるとなると欲張りになりがちだが、この家は林さん一家にぴったりのサイズだ。 そのほか唯一、ご主人が希望したのは「カーポートを家の一部にする」ことだった。カーポートだけ別の素材でポツンとあるのがどうしても嫌だったという。亀津建築の亀津雅まさしさんは、玄関とカーポートを覆う野地板現しの屋根の高さにこだわった。「絶妙な低さでしょう」と話す。この低い屋根をくぐることによって、家に帰った、という安心感を生んでいるのではないだろうか。 竣工からおよそ1年、住み心地も上々だという。「木の香りもするし、土壁や木が部屋の湿気を吸い取ってくれているので空気が気持ちいい。それに竣工後の細かいメンテナンスにも快く応じてくれる」と話す夫妻。当日もいろいろ相談していて、亀津建築への信頼が感じられた。 建てたあと、二人姉妹の子供室をもう少し広くしてあげればよかった、と思ったそうだ。しかし小さな部屋には夫妻の「二人にはいい意味で早く家を出て、幸せになってほしい」という、未来への願いもこもっているのだ。家族みんなで畑の世話をする。ジャガイモ、トマト、ネギなどいろいろなものを育てて食べているそうだ。左/雑草を抜いたり水をあげたりする子どもたち。 中/畑で育ったサヤエンドウ。 右/子供室は将来2部屋に仕切れるように考えている。上/ご主人が前の職場でもらったダチョウの卵をディスプレイ。 下/LDKから見た廊下。いちばん奥の寝室の扉を開けておくと、突き当たりの窓から明るい光が。112

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