雑誌「チルチンびと」82号 岐阜県 ㈲亀津建築
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212右:キッチンは対面式でゆったり。子どもたちも気軽に入って家事をこなす。 左上:脱衣室側よりリビング方向を見る。空間がつながりシンプルな印象。 左下:洗面室(右)と脱衣室(左)。お年頃の娘二人のリクエストで浴室と洗面室を別にした。上から:子ども室はこぢんまり。リビングにいる時間が長いので十分。 :主寝室。電気を消すとライトアップされた庭の木々が障子に映って不思議な雰囲気。:和室。近くに高い建物がなく空がきれいに見える。い。オンとオフを切り替えたいので、内側に通路を設けなかった。「稀月」と小さな看板を掲げた扉を開けたところが奥さんの営むライフスタイルショップ。以前はガーデニング用品が中心だったが、建て替えを機に、インテリア雑貨など暮らしのなかでちょっといい時間を演出してくれそうなものへと方向転換した。キッチンを挟んで店とギャラリーに分かれており、コーヒーも出す。ゆっくりできるとお客さまには好評だ。一方、ご主人の事務所は2階に配置した。仕事に集中できるシンプルな空間で、とても気に入っているとのこと。 今年6月に入居したばかりだが、家族の生活はどう変わったのか。 「デッキの掃除など家事は増えたけど、ついでに庭を眺めたり、忙しい気がしません。娘たちも池のメダカに餌をやるとか、のんびりする時間が多くなったみたいですよ」(奥さん)。 ご主人は毎日が楽しくてしょうがないと話す。初めて自分と家族のためにつくった庭は、「市中の山居」がテーマ。市街地にあっても山奥のような静寂が感じられる佇まいに、という思いを込めた。まだ完成にはほど遠いが、これから時間をかけ育てていきたいと口元を引き締める。「亀津さんの力で気持ちのいい家ができました。どんどん使い込んで味を出すのは住まい手の役目かな(笑)。〝経年美化〟が楽しみです。時間とともに味わいや魅力が増すという点で、家と庭は同じだと思います」。

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