雑誌「チルチンびと」別冊43号掲載 岐阜県 ㈲亀津建築
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100  夫妻の家を建てた亀津建築は、創業 者である父の跡を継いだ雅 まさし さんと薫 かおる さ ん兄弟を中心に、社員4名で切り盛り する工務店だ。自社で木材の加工場を 持ち、地元の木と土壁を使った家づく りには定評がある。大工も経験豊富な 腕利きばかりだ。  夫妻は家を建てるにあたり、実家を 建て替えて二世帯で暮らすか、別に建 てるか悩んだ末、実家の家族との生活 リズムの違いなどを考慮し隣の敷地に 建てることに。設計を担当した雅さん は「敷地の広さ、高い建物がないまわ りとの調和や掃除の手間を考えると、 やっぱり平屋がいいですよ」とすすめ た。シンプルな家を求めていた夫妻も 「2階建ても考えましたが、掃除も楽 だし、将来のことも考えると平屋にし てよかったですね」と話す。  ここは、かつて宿場町として栄えた 中山道の趣きが残る、岐阜県中津川市。 瓦屋根に黒い焼き杉張りの古い民家が 多いまちだ。  恵那山を背景に建つ幸脇邸は、屋根 から薪ストーブの煙突が出た白い土壁 の平屋建てで、少しモダンな山小屋と いった風情。  薪の積まれたガレージを横目に、白 砂利のアプローチを通って家の中へ。 南に位置する明るいリビングは、屋根 の傾斜をそのまま現した杉板張りの高 い天井で、開放感に溢れている。東側 の大きな開口が切り取る、田園と雄大 な恵那山の景色が、家の内と外をつな ぐ。ダイニングの窓から見える立派な 民家は、築 80 年ほど経つご主人の実家。  夫妻はこれまで隣の恵那市でアパー ト暮らしをしていたが、夏暑く冬は冷 え込む環境から脱しようと家づくりを 考え始めた。  「山小屋みたいな家に住みたかった んです」と話すご主人は『チルチンび と』の愛読者。誌面を通じて気になっ ていた㈲亀津建築の建物を見に出か け、一目で気に入ったという。「決め 手は素材ですね。やっぱり実家を見て いたからか、木が黒ずんできたりする ような経年変化のある家がよかったん です。それに亀津さんの建物の、少し 山小屋みたいな雰囲気もよくて」とご 主人は笑いながら話す。 どの部屋の窓からも恵那山が見える。 入り口の収納スペースがリビングと裏のキッチンを仕切る壁にもなっている。土壁の白があるので、木をふんだんに使っていてもしつこくならない。 環境を取り込んだ 自然素材の家づくり  

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