雑誌「チルチンびと」96号掲載 岐阜県 ㈱エコ建築考房
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170上/ダイニングテーブルの代わりに、半円形のカウンターと椅子を置いた。 中/家族揃ってくつろぐのは円卓で。ケヤキのカウンター・椅子・円卓は土屋木工にオーダーしたもの。床は無垢の杉材をうづくり加工してあり肌触りがよい。 下/3畳の畳コーナーはお昼寝スペースにぴったり。襖を閉めれば客間としても使える。工夫で暮らしやすい家にできます」という。 その言葉どおり、Kさんの家は南側にゆとりある庭を設け、その景色をLDKから眺められるようにすることで、実際の面積以上の広がりを感じる空間となった。ウッドデッキに通じる窓辺をベンチとして使える高さにしたり、吹き抜けの代わりに1・2階をつなぐスリットを設けるといった設計上の工夫の積み重ねが、家族がのびのびと過ごせる空間を生み出している。 この家に暮らしてから、新たな家族が誕生したKさん一家。「以前のアパート住まいと違って、子どもがのびのび楽しそうなのが嬉しい」と話す夫妻。上質な素材と住まい手に寄り添う設計により実現した住まいで、健やかな家族の日々がこれからも紡がれていくことだろう。素材に妥協せず         暮らしやすい家を設計 その後、広めの敷地を購入していた都合上、予算面で同社との家づくりをあきらめかけたこともあったという。そんな時、夫妻の迷いを一掃したのが、五香さんの「コンパクトでも広がりのある設計ですから安心してください」という一言だった。「それまでのやりとりで、こちらの曖昧な希望を的確な形にしてくださる設計士さんだと思っていたので、お任せしようと思いました」と笑顔で話す夫妻。五香さんは「無垢の木や羊毛断熱材など、自然素材にこだわる家づくりは一定のコストがかかります。けれども暮らしの質を考えると、素材に妥協はできません。面積を抑えても、設計の

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